子育てをしていれば必ずぶち当たる壁。そのひとつが「叱り方」です。
「今感情的に怒っちゃったな…(ごめん)」と罪悪感を感じたことのあるパパママがほとんどではないでしょうか。
とりわけ、子供と接する時間の長いママの方が、こういった感情に日々悩まされていることと思います。
今回は、先輩ママ・パパが実際に行ってきた「叱り方」やこの葛藤とうまく付き合うコツを紹介していきます。
「怒る」と「叱る」の違い 「諭す」との違いについて
まずは辞書にて、「怒る」と「叱る」について調べてみましょう。電子版辞書、weblioにて両者の意味をそれぞれ調べてみると、
【怒る】
- 厳しくあるいは怒って非難する
- 怒りの感情によって興奮すること
- 怒りの感情をたかぶらせること
【叱る】
- 厳しくあるいは怒って非難する
- 部下や生徒、子どもなどを激しい口調で諭すこと
- 人の言動や失敗などを直させるよう言うこと
一番上のそれぞれの意味を見てみると、“厳しくあるいは怒って非難する”という全くの同義です。
ですが、他の意味を比べてみるとよくわかるのが、怒ることは感情によって左右されていて、本人主体で相手のことを顧みないという印象。
これに対し、叱ることは(怒ることに変わりはないものの)その先に相手を正しい方向へ促す“未来”が加わっている点です。
つまり、似ているようで全く異なる意味であることが分かります。
上記の通り、「怒る」と「叱る」との論争には「諭す」という言葉もセットで出てきます。
諭すは、“誰かの行動の点から見て忠告または助言する”という意味で、ある種叱ることの類義語と言えます。
ただ、「諭す」と「叱る」の違いは、怒っているか怒っていないかがポイントで、冷静であれば諭している、相手が怒っていると感じたら、それは叱っているといえるのかもしれません。
感情的に怒ることで起こりうる3つのリスク
感情的に怒るなと言われても、突拍子もないことをしでかすのが子供、そう簡単にはいきませんよね。
著者は比較的時間の融通が利く個人事業兼、専業主夫でもあるので、子供と接する時間が多く、こういった毎日のイライラ、非常によくわかります(笑)。
車道への飛び出しなど、命に直結するような、緊急性の高い場合ならつゆ知らず、感情的に怒ってしまうことも、決して少なくないはずです。
そこで本章では、怒ることで生じうる3つのリスク、
- 自己肯定感への否定
- 怒りに任せた感情的な対処法の学習
- 親が恐怖の対象となる
について解説していきます。
自己肯定感への否定
よく言われることですが、兄弟やお友達と比較して、「あなたは何でできないの?」と言ったり、「あなたはダメな子ね」と人間性を否定したりすることで、『自分はできない子』と、自信を失っていきます。
感情的な対処法の学習
社会生活を送るうえで、協調性は非常に大事です。
しかしながら、親がいつも感情的だと、“(パパやママのように)感情的に怒れば物事が解決する”と子供ながらに解釈してしまいます。
親が恐怖の対象となる
著者の実例で解説します。
父親は鉄拳制裁の亭主関白だったこともあり、子供を持った現在でさえも、恐怖の存在です。因みにこれは、著者兄弟間共通の認識です。
確かに“何かあったら父にシバかれる”という意味で、己を律することもできるかもしれませんが、ある種親のマインドコントロール(洗脳に近いかも?)によるトラウマとも言えます。
乳幼児期に上手に叱る3つのコツ
叱り方の上手な先輩ママ・パパに聞くと、それぞれの家庭で、叱る際のルールを設けています。
夫婦間で、“こういう時はこう叱る”といった、叱る際のルールを作っておくと、感情的になったとしても、どちらか一方がフォローに入ったりと、対処がしやすくなります。
本章では子供の上手な叱り方について、3つのポイントに絞って解説していきます。
叱るときのポイント
特に乳幼児期は、何で叱られているのか理解していないことも多いため、ビジネスシーンでの部下の叱り方とはやや異なります。
いくらロジカルに説明しても、子どもはすぐに飽きてしまいますし、言って分かれば苦労はしません。
ですが、“相手の成長を促す”という本質は同じです。
叱り方のポイントは、
- 短く端的に叱る
- その場で今のことだけ叱る
- 人前で出来るだけ叱らない
この3つです。
短く端的に叱る
感情的になると、ついつい怒り過ぎてしまいますが、前述の通り子供は長々と話しても混乱するだけ。
「叩くのはダメ!」と軽い言い方ではなく、しっかりと言ってあげます。
この際優しく言っても効き目が薄いので、強めにいう方が効果的。泣いてしまったら落ち着いたうえで、「〇〇が欲しかったの?」など、理由を聞き、「叩いたら痛いよね?」とか、「貸してって言おうね」といったかたちで諭してあげましょう。
その場で今のことだけを叱る
叱るときは初速が肝心。後になっていったところで、子どもは何が何だかわかりません。
また、ネチネチと、過去のことを持ち出して叱るのも控えましょう。大人でも論点をすらされたら全く響きませんが子供も同じです。
大人と同じように、目を見て話すことや、子どもから一旦距離を置いて考えさせることも重要です
人前で叱らない
子どもであっても一人の人間です。自尊心もあればプライドもあります。
人前で叱ることによって、自己肯定感も下げかねませんし、プライドを傷つけないためにも、できる限り人に聞かれないよう、人前で叱るのは避けましょう。
しかしながら、大声をだしてしっかり叱るよりも、冷静に叱った方が効果的な場合もありますし、シチュエーションによってケースバイケースです。
何にせよ一番重要なのは、一方通行ではなく、一度でわからなければ何度でも根気強く、子ども自身の意見を聞きつつ、会話をしながら対話することです。
親も人間、時には感情的になるのも仕方がない
自分が親になると痛感しますが、子育てに(おそらく)正解はありません。特に幼少期は親が手本であり、ある意味エゴの植え付けとも言えるかもしれません。
また、子供の性格は十人十色、親の性格も違えば、生活環境も異なります。
一概にこうしなさいと言われても、それが全て合致するとはいえませんし、時に理不尽に怒ってしまうのも“親”だと思います。
もちろん、DV等(言葉の暴力含む)毎日のようにやってしまったら問題はあると思いますが、親も人間。緊急事態だけではなく、感情に浮き沈みがあって当然です。
ですがどれだけ理不尽に怒っても、子供は数分後には、何事もなかったようにニコニコ(ケラケラ)しながらすり寄ってきます。
“いつも怒っている”というレッテルを貼られないためにも、親も対等な立場の人間として、素直に謝れる関係でいたいものですね。